京の公家屋敷に仕える乳母「岩手」が口を開かぬ姫に日夜悩むが或る日易者が「妊婦の生肝を飲めば治る」とのお告げで妊婦を求めて全国を巡り歩き陸奥安達が原に辿り着いた　木枯らしの吹くある日伊駒之助・恋衣と云う妊婦の夫婦が一夜の宿を求めて来た　その夜突然産気づいた恋衣の為伊駒之助が薬を求めに出て行った　この時とばかり妊婦の腹を裂き生肝を取り出した　所が彼女のお守りから昔別れた実の娘と分り殺したのは孫であった　そのため「岩手」は気が狂い髪は逆立ち鬼と化したのです　そして旅人を殺しては其の生き血を吸ったという恐ろしい話がここ安達が原には伝わるのです		鬼婆と化して数年後紀州熊野の僧阿闍梨祐慶東光坊がここ安達が原を訪れ鬼婆の秘密を知って逃げ出したがものすごい剣幕と形相で追いかけてくる鬼婆に最早これまでと安座する如意輪観音の笈を下し一心に祈願したところ尊像は空高く舞い上がり一大光明を放ち白真弓で鬼婆を射殺したという（観世寺栞） 　黒塚はこの鬼婆が埋められた所である
	左　鬼婆が僧阿闍梨祐慶東光坊によって埋葬されたという土饅頭の墳墓だが栞では仏の力で成仏したことになってるのが面白い 安達が原 　其の２	上　白真弓如意輪観音堂　 鬼婆を退治した東光坊阿闍梨が遷座する如意輪漢音を祀る　手前に出刃洗いの池で左奥が鬼婆の岩屋窟である　御詠歌は 　あらとうと　大慈大悲の　白真弓　やおよろずよと　祈る皆人 下　鬼婆の住んでいたと云う岩屋窟			上　正岡子規の句碑 涼しさや　聞けば昔は　鬼の家　　　規 名前は規だけで私の入力ミスではありません　子規の規だけを彫ったのでしょう 左上　風化した鬼婆石像　 左　鬼婆がその出刃包丁を洗った池である  白河藩主松平定信も 　行く末は　安達が原の　露の身も　 　　　　　　国を守りの　鬼とならなん と詠んでいる