おさふれど 涙でさらに とどまらぬ 衣の関に あらぬ袂は 山家集 西行
すぎきたる 心は人も 忘れじな 衣の関を 立ちかへるまで 為仲集 橘 為仲
さして行く 衣の関の はるけさは 立かへるべき ほどと知られぬ 為仲集 橘 為仲
なにせんに たちゐ待つらむ 思ひ出ば 衣の関を きてもみよかし 為仲集 橘 為仲
ただちとも 頼まざらなん 身に近き 衣の関も ありといふなり 後撰和歌集 詠み人知れず
わかるとも 衣の関の なかりせば 袖ぬれましや 都ながらも 山家集 中将実方
うき旅の 袖冷ややかに 秋風の 衣の関を 今ぞ越へつる 山家集 中将実方
なににかは 君にむつれて 年をへば 衣の関に 思ひたえまし 山家集 中将実方
陸奥の 衣の関は たちぬれど また逢坂は たのもしきかな 山家集 中将実方
むかし見し 関守もみな 老ひにけり としのゆくをば えやはととむる 夫木和歌集 源 重之
白雲の よそに聞きしを 陸奥の 衣の関を 来てぞこえぬる 源 顕仲
ゆく人も えぞ過ぎやらぬ 吹きかへす 衣の関の 今朝のあらしに 続千載和歌集 従三位為子
陸奥の 衣の関を けさたちて いつのまにかは 春のきつらん 金葉和歌集 覚雅法師
風さゆる 夜半の衣の 関守は 寝られぬまヽの 月や見るらん 続後撰和歌集 順徳天皇
もろともに たたましものを 陸奥の 衣の関を よそに聞く哉 詞花和歌集 和泉式部
跡たへて 人もかよはぬ 独り寝の 衣の関を もる泪かな 続拾遺和歌集 前参議忠定
露むすぶ 袖を衣の 関路とや 空行く月も 影とどむらん 新葉和歌集 前中納言藤原為忠
へだてつる 衣の関の かたければ うらみてぞふる 人の心を 散木奇歌集 源 俊頼
陸奥の 衣の関か 人しれぬ 涙おさふる 我がたもとは 新続古今和歌集 寂照法師
衣(河)の関(柵)  |
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