陸奥国より金(くがね)(いで)せる詔書(みことのり)を賀(ことほ)く歌一首並びに短歌 

     須賣呂伎能 御代佐可延牟等 阿頭麻奈流 美知能久夜麻爾 金花佐久
   
  すめろぎの 御代栄えむと 東なる みちのく山に 金花咲く
                                               万葉集巻18-4097
葦原の 瑞穂の国を 天下り しらしめしける 天皇の 神の命の 御代重ね 天の日嗣と しらし来る 君の御代御代 敷きませる
四方の国には 山河を 広み淳みと 奉る 御調宝は 数へ得ず 尽くしも兼ねつ 然れども 吾が大王の 諸人を 誘ひ給ひ 
善き事を 始め給ひて 金かも たしけくあらむと 思ほして 下悩ますに 鶏が鳴く 東の国の 陸奥の 小田なる山に 金ありと 
奉し賜へれ  御心を 明らめ給ひ 天地の 神相納受ひ 皇御祖の 御霊助けて 遠き代に かかりし事を 朕が御代に 
顕してあれば 食国は 栄えむものと 神ながら 思ほし召して もののふの 八十伴の雄を まつろへの むけのまにまに 老人も 
女童児も 其が願ふ 心足ひに 撫で給ひ 治め給へば 此をしも あやに貴み 嬉しけく いよよ思ひて 大伴の 遠つ神祖の 
其の名をば 大来目主と 負い持ちて 仕えし官 海行かば 水浸く屍 山行かば 草生す屍 大皇の 辺にこそ死なめ 顧みは 
為じと言立て 丈夫の 清き彼の名を 古よ 今の現に 流さへる 祖の子等ぞ 大伴と 佐伯の氏は 人の祖の 立つる言立 
人の子は 祖の名絶たず 大君に 奉仕ふものと 言い継げる 言の職ぞ 梓弓 手に取り持ちて 剣太刀 腰に取り佩き 朝守り 
夕の守りに 大王の 御門の守護 我をおきて 人はあらじと 弥立て 思ひし増る 大皇の 御言の幸の 聞けば貴み
                                                 万葉集巻18-4094 大伴家持


陸奥山

 
こがねほる 陸奥山に たつ民の 命も知らぬ 恋もするかな
                            金塊和歌集 源 実朝
あきらけき 御代の為とや 咲きそめし 陸奥山の 花の光りは

                                            百詠和歌

咲きそめし 金の花は 天皇の 光とひらく 初めなりけり
                                
夫木和歌集
 丈夫の 心思ほゆ 大君の 御言の幸を 聞けば貴み
                       万葉集巻18-4095  大伴家持
大伴の 遠つ神祖や 奥津城は 著るく標たて 人の知るべく

                         万葉集巻18-4096  大伴家持